一人居の孤独と自由秋の蝶
神の留守老いの一間の模様替へ
亡き人に葉書来てをり秋の薔薇
夫植えし檸檬たわわに実る庭
秋寒や膝に仔犬の暖かさ
弾む歩に力をくれる鴨の群れ
眠れずにをれば煌々十三夜
雲の間に見え隠れして十三夜
面影を想い重ねし鴛鴦よ
面影を想い重ねし鴛鴦よ
投げ生けし外玄関の草の花
平凡な幸せ感じ吾亦紅
亡き人を偲びて仰ぐ居待月
木犀や闇深ければ濃く匂い
穂芒の風に波打つ阿蘇の道
流れゆく雲追ひかける秋の旅
恙なき今日に感謝の秋夕焼
虫すだく今宵の一句湯気の中
月影にひそかに揺るる萩の花
暗きほど香りたしかに金木犀
萩咲くや生家なき郷なほも恋ひ
楽しみを探し生きよと今日の月
足音を連れてひとりの十七夜
吹く風に暫し人恋ふ居待月
満月を待って今宵は無月とは
楚々と咲く黄色の寂し女郎花
雲仙の温泉ひたる敬老日
敬老日巣立ちの孫等プレゼント
背中を押す君の囁き秋の風
控えめなクリーム色の彼岸花